夢を追う男・・・

2001年6月6日
中学時代からの親友だったN。
数年前に、仕事興しに失敗し、多額の借金を抱えて自己破産した。

彼の求める仕事は、話を聞くとスケールが大きすぎて、凡人の私には「夢」のような話が多かった。
実現すればそれこそ夢のように儲かる話が多かった。しかし、現実は甘くない・・・。
借金が借金を生み、動きが取れなくなってしまったのだ。
破産宣告をせざるを得なくなり、その後音信が途絶えた。

彼は東京に住んでいるので、最初はどうやって生活していくのだろうか・・・などと心配もした。
最後の土壇場で彼に250万円貸していたのだ。
そのお金は、彼を信じて貸していたのだが、音信が途絶え、結局は竹馬の友ですら裏切られた気持ちとなり、寂しさを覚えたものだ。
やはり、金銭が絡むとどんな友情も壊れてしまうものなのか・・・、と正直言ってがっかりした。

と言って、彼をそれ以上責める気持ちもなく、いつしか彼の存在そのものも記憶から少しずつ薄れつつあった。

ところがである。突然、今日、その彼から私の携帯に電話が入った。
主な用件は「携帯番号が今日から変わるから・・・」というものだった。

ということは、今までの彼の携帯電話は昨日まで生きていたことになる。確かに、こちらから彼に電話することもなかったが、自己破産までした人間が、そのまま携帯電話などを持っているとは思っていなかった。それに、仮に携帯電話が通じたとしても、破産宣告してどん底に落ちた彼に、今さら何を話すことがあろうか・・・。

しかし、今日の彼からの電話は、「携帯の番号が変わるので、何かあったら、これからはこの番号に連絡してくれ」という内容だった。

短時間しか話は出来なかったが、受話器の向こうの彼の声は以前と変わらず元気そうだった。そして、何とか生活をしていること、借金の返済のために、また新たに取り組みつつある仕事があり、状況的に上向きつつある、とも言っていた。そして、彼の口から「借りている250万はうまくいけば来年くらいには返せるかもしれない」とも・・・!

う〜ん、相変わらず「夢」を追う仕事から離れられないみたいだ・・・。

金はともかく、彼が少なくとも今尚、前向きに精一杯頑張ろうとしている姿勢が見てとれた。
ずっと独身を通して来た彼だが、結婚などは考える余裕もないそうだ。

彼に対して「信頼を裏切った男」という烙印を押してしまった自分を後悔した。

彼は一生、これからも又、夢を追い続けるに違いない。彼の夢が実現することを祈る。

電話を切る間際に、「体だけは大切にしろよな」と言うのが精一杯だった。

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