通勤で使う大阪市内の地下鉄。車内広告は満員電車では退屈しのぎに結構眺める。でもその広告の中で一つ気になるのがあった・・・。

ある清酒の広告文。関西弁でアベックがしゃべっているのを宣伝コピーとしている。

曰く・・・「・・・日本酒は適量飲んだら、ウロキナーゼいうて血栓を溶かす物質が増えるんや。」
「ほな動脈硬化や脳卒中の予防にいいんやなぁ・・・」・・・
というくだりだ。

このコピーを読むと、そのまま受け取れば、日本酒を適量飲めば、動脈硬化や脳卒中の予防が出来る、というように解釈できる。

ところで、ウロキナーゼという物質は確かに血栓を溶かす作用を持っている。
心筋梗塞や脳梗塞などのように、血栓が動脈硬化で細くなったところに詰まって起こる疾病では、ウロキナーゼという注射製剤を使い(現在はさらに進化した溶解剤を使うが・・・)血栓を溶かすといった治療を行っていたのも事実だ。

しかし、このウロキナーゼを使いすぎると今度は出血傾向が出てきて、ちょっとした出血でもなかなか血が止まらなくなる。といって、血栓を溶かすにはかなりの量のウロキナーゼが必要だ。

また、「動脈硬化や脳卒中の予防云々・・・」と書いてあるが、これもおかしい。
動脈硬化の予防とウロキナーゼとは全く関連がないし、脳卒中の予防のためにウロキナーゼを使う事は非現実的であり得ないことである。

血栓の予防には系統の違う別の薬があるし、動脈硬化の予防にしてもそれなりの薬がちゃんとある。

こうして見ると、この宣伝コピーははっきり言って全くの間違いと言える。

日本酒を飲むと体内でウロキナーゼ様物質が作られるのが事実としても、血栓を溶かすだけの力があるはずもない。それなら酔っ払いが心筋梗塞や脳梗塞を起こさないという道理ではないか・・・。

最近は、食べ物や飲み物などの食材に含まれる一つの物質に注目して、サプリメントとして摂取すると健康につながるというような風潮がある。

ただ実際に、その成分が有効に作用するのに果たしてどれほどの食材を摂取しなければならないかというと、薬のように詳しく検討されたデータも公表されていないし、真偽の程はあやしいものもある。

健康であることは素晴らしい。病気にはなりたくない。万人の思うことは同じであるが、どうも最近の風潮は通常の食事をおざなりにして、サプリメントだけでよし・・・というような極端さも垣間見えてちょっとおかしいと思う。

日本酒を宣伝するのなら、日本伝統のお酒の良さを別の角度からアピールした方がずっとスマートなのにと感じた。

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